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相続・遺産分割に関するご相談

人の死によって、その方の財産は配偶者や子などの相続人に承継されます。すべて自動的に進むわけではなく、遺言があれば遺言に従って、遺言がなければ相続人の間で遺産分割の手続を経る必要があります。
また、ご自身の将来の相続について、「終活」としての意識が高まっています。遺志が将来確実に実現するようにするためには、法律的に適切な遺言書を作成しておく必要があります。
相続問題は非常に専門的で論点も多岐にわたります。当事務所では、複雑な問題になりうる相続について、解決やご希望の実現に向けてサポートいたします。

相続・遺産分割

人の死によって相続が開始します。亡くなった方(被相続人)が有していた財産や負債は、遺産として相続人に承継されます。
しかしながら、相続に関する問題は、以下にみるように多岐にわたります。

遺言への対応

被相続人が遺言を遺していた場合には、まずはこれに従って手続を進めることができるか否かを検討します。
遺言にも種類があり、公正証書遺言、自筆証書遺言などがあります。
このうち、自筆証書遺言の場合には、裁判所に対して遺言書検認申立てが必要になることもあります。
遺言書に記載された文言の内容を解釈して、作成した被相続人の遺志にしたがって承継できるかどうかを見極め、必要に応じて遺言執行者の選任等を経て、遺言内容の実現に向けて手続を進めることになります。

遺産分割

遺言書が作成されていない場合、作成されていても残念ながら無効と判断される場合があります。このような場合には、相続人全員での遺産分割をしなければなりません。
しかし、ここでも次のような問題点が生じる場合があります。

①誰が相続人なのかわからない

様々な理由により親族関係が複雑であるなどから、そもそも誰が相続人にあたるのかがわからない場合があります。
この場合には、遺産分割の前提として相続人の調査を行い、相続人を確定させる必要があります。

②遺産の内容が明らかではない

一部の相続人のみが遺産に関する情報を持ち、これを他の相続人に開示しないような場合や、被相続人と疎遠だったりしたためにどのような財産を持っていたのかの情報がない場合などがあります。
この場合には、把握している情報や推測される財産を元に各機関に照会するなどして、遺産の内容を調査する必要があります。

③遺産分割協議がまとまる見通しがある

円満に遺産分割がまとまる見通しではあるものの、法律的に交通整理しながら進めたいという場合もあろうかと思います。その場合には、相続人全員の合意のもと、弁護士等が相続人の間に入り、成立に向けて細かな調整を進めていくことも可能です。
協議がまとまった場合には、最終的に遺産分割協議書を作成して、その合意内容(誰にどの財産の権利が帰属するのか)を明確にしておく必要があります。その後の遺産の承継手続(預貯金の解約や不動産の相続登記など)においても、遺産分割の結果を示す証拠として、遺産分割協議書が必要になります。もちろん、既に合意が整っているのであれば、遺産分割協議書の作成のみのご依頼も可能です。

④遺産分割協議がまとまらない

相続人間で遺産分割協議をしたが、争いになり合意ができないという場合があります。
この場合には、どの点で争いになっているのかを見極め、適切な手続をとる必要があります。協議で整わない場合には、家庭裁判所での遺産分割調停や遺産分割審判といった手続がありますので、事案に応じて調停手続に進めるのかどうか判断していく必要があります。
また、遺産分割自体にも、特別受益や寄与分といった法律問題が生じることがありますし、誰が具体的にどの財産を取得するのか調整が必要なこともあります。
相続人間での遺産分割協議がまとまらない場合には、弁護士が関与して進めていくのが望ましいといえます。

⑤一部相続人が被相続人名義の預貯金を使い込んでいる

被相続人が自ら預貯金を引き出すことができなくなってから、被相続人の生前、死後を問わず、一部の相続人が預貯金を引き出して使途不明金を生じさせてしまうこともあります。誰による引出しなのか、被相続人の意図することだったのか、当時の被相続人に判断能力はあったのか、どのように使われたのかなど、そのケースに応じた適切な対応が必須です。
このような使途不明金の問題は、厳密には遺産分割の対象ではなく、例外的に他の相続人が同意した場合に遺産分割の対象とされています。遺産分割の手続で進めるのか、別の手続によるのか、その他様々な判断が必要になりますので、引き出された預貯金についての処理にあたっては、弁護士の関与が望ましいといえます。

遺産承継に関する手続

相続は、遺産分割が成立してすべて終わり、というわけにはいきません。遺産分割後、その内容を実現するため、預貯金や保険契約の解約、不動産の相続登記など各種の手続が必要になります。
手続を要する財産が多く存在して煩雑な場合や、遺産の配分にあたって公平な第三者の関与が求められる場合などには、弁護士等が相続人から依頼を受けて遺産承継に関する手続を進めることができます。

相続放棄

プラスの遺産よりも借金などマイナスの遺産のほうが多い場合もあります。被相続人が生前消費者金融などから多額の借入をしていたり、会社経営者であって金融機関からの会社借入に際して連帯保証していたり、様々な場面が考えられます。
この場合には、相続放棄を検討すべきです。相続放棄をすることで、法律上相続人ではなかったという扱いになります。そのため、被相続人が負っていた債務の支払義務を引き継ぐことはなくなります。ただし、プラスの財産も引き継ぐことができなくなりますので、相続放棄には慎重な判断が必要です。また、遺産の中に管理が必要な物(例えば、空き家など)が含まれていた場合、相続放棄をしたとしてもそれだけで管理責任が免れないこともありますので、法律関係を把握した上で進める必要があります。
相続放棄は、ご自身が相続人であり、承継すべき財産、負債があると認識した時点から3か月以内に、家庭裁判所に申述書を提出しなければなりません。中には既に3か月を超えてしまっている場合もあるかもしれません。その場合であっても例外的に相続放棄が受理されるケースもあります。
また、プラスの財産も負債も同じくらいあるため、遺産をできるだけ正確に把握してから相続放棄するかどうかを判断したい、というケースもあろうかと思います。そのような場合には、3か月以内に調査し、判断することが困難なことが少なくありません。この場合、期間が満了する前に、家庭裁判所に相続の承認又は放棄の伸長申立てをするという方法が考えられます。伸長が認められた場合には、伸長された期間内に、遺産の調査を進め、相続するかどうかの判断をすることになります。

遺留分

生前贈与や遺言により、遺産のほとんどをある特定の相続人が取得したなどの場合には、他の相続人(ただし、被相続人の兄弟姉妹を除きます。配偶者、子などの直系卑属、親などの直系尊属の相続人のみ)は、遺留分として、遺産の一定割合に相当する金銭を他の相続人に請求することができます。これを遺留分侵害額の請求といいます。
請求する場合にあっても請求を受けた場合にあっても、正確な法律の知識がなければ、誰にどのくらいの金額を請求することができるのかなど、適切に処理することは極めて困難です。これらの場合には、弁護士の関与が望ましいといえます。

遺言書の作成

先に述べたことはご自身が相続人になる場合のことですが、将来の自分の相続についても考えておくことが望まれます。特に、相続問題で苦労した方においては、ご自身の相続の際には家族・親族にできるだけ苦労をかけたくないとの思いが強くなる傾向にあるようです。また、自分の所有する財産を遺したい人がいるという場合、どうすれば希望どおりに取得してもらえるのかという不安もあろうかと思います。このような場合にまず選択肢にあがるのが遺言書です。
遺言書は、相続が開始した後、間違いなく効力が生じるものでなければ意味がありません。残念ながら、せっかく作っても無効と判断されてしまう遺言書も一定数あります。どのような内容の遺言書を作成するのか、どのような形式(公正証書遺言、自筆証書遺言)で作成するのか、その進め方など、専門的な助言のもと作成するのが望ましいといえます。